こんにちは。
今回はWeb広告の費用対効果についてのお話です。
Web広告のメリットの1つに「費用対効果が数値ですぐにわかる」があります。
費用対効果、CPAともいいますが、これは誰しも改善したいポイントだと思います。
しかし、その費用対効果は正しく現状を表しているのでしょうか?
少し考えてみようと思います。
費用対効果を分解すると
費用対効果を単純にいうと「かけた広告費に対して、どれだけの成果が生まれたか」ということですね。
Web広告でいうとCPAを指すことが多いです。
CPAは「広告費÷CV(成果)」で算出され、「1件の成果を上げるためにかかった広告費」という意味です。
CPAが下がると、1件の成果獲得にかかる広告費は下がるので、結果、費用対効果がよくなります。
Web広告はCPAが数値ですぐにわかるので、これを指標に運用したり、媒体選定をされている方も多いと思います。
ここで少し考えてみましょう。以下の2つが気になりませんか?
- 成果というけど成果って何を指すの?
- どの媒体(配信手法)もCPAで評価してていいの?
これ以外にも気になる点はあると思いますが、今回はこの2つを掘り下げてみようと思います。
成果って何を指すの?
企業でいう成果は「売上」や「利益」、または「受注数」などを指すことが多いと思います。
では、Web広告でいう成果とはなにか、というと「Web上の成果」です。
Web上の成果って?となると思いますが、これは業種やサイトによって様々です。
通販サイトの場合
たとえば通販サイトだと、Web上で購入まで完結できるので、購入がWeb上の成果といえます。
これは売上に直結するので、企業でいう成果と同じですよね。
通販サイトであれば、Web広告のCPAが改善すれば、費用対効果が改善できたといえそうです。
次に、分譲住宅を扱っているサイトではどうでしょうか?
分譲住宅を扱っているサイトの場合
当たり前ですが、サイトを見ただけでその場で家を買っちゃう人はいませんよね(まれにいるかもしれませんが……)。
資料請求をしたり、住宅展示場に行ったり、その後、営業と話してみたり……とサイトを見た後に様々な行動をとると思います。
この場合「Web上の成果」はなにになるかというと、「資料請求」や「問い合わせ」を受けた件数とすることが多いです。
住宅展示場に行ったり、営業と話すなどの行動は、Webで行われないため数値を取ることが一般的にはできないからです。
では、資料請求やサイトからの問い合わせが増えたからといって、費用対効果が改善したとといえるでしょうか?
答えはNOですよね。
もちろん改善するかもしれませんが、資料請求や問い合わせが直接、売上に結びつくわけではありません。
売上になるまでに、営業が商談でミスしたとか、資料がほしいだけの人だったとか、いろいろな落とし穴があります。
ここでWeb広告のCPAが下がった=費用対効果が改善した、と考えてしまうと正しく現状を把握できない可能性が出てきます。
CPAが悪いから、と配信を止めた媒体が、実はそこから資料請求をしたユーザーの購入率は100%だった、ということがあるかもしれません。
Web広告は数値で効果がわかる分、勘違いしがちですが、ビジネスモデルから費用対効果を考えることが重要です。
どの媒体もCPAで評価していいの?
もう1つの視点として、媒体・配信方法ごとの特性、があります。
Web広告には多くの配信手法がありますが、ざっくり分けると下図のようになります。
この種類ごとに特性は異なり、たとえばリスティング広告であればニーズが高いユーザーを誘因しやすいのでWeb上の成果に結びつきやすい、などがあります。
このような特性を図に加えると……
図から分かるように、媒体・配信手法ごとで特性が異なる、つまり狙いたい効果が異なります。
効果が異なる、ということは、評価する指標が異なるということです。
たとえばダイエットをするとして、
- 運動 → 筋肉をつける
- 糖質制限 → 摂取するカロリーを落とす
となり、糖質制限をしたからといって筋肉がつくわけではなく、この2つの効果は異なりますね。
また評価指標として、運動は筋肉量、糖質制限はカロリーになり、これも異なります。
ちょっと無理やりな例でしたが、Web広告も同様で、特性が異なるものはCPAといった単一の指標で評価できないのです。
これを無理やりCPAで統一すると、新規ユーザーがサイトに訪問しなくなり、いつのまにか売上が下がって費用対効果が悪化していた……ということになりかねません。
CPAだけでなく媒体の特性から、指標を決めることが大切です。
まとめ
ユーザーの行動が多様化しているため、Web広告の費用対効果を正確に把握することは
年々難しくなってきています。
それに対応するために、アトリビューション、クロスデバイス、マス媒体との連携……など様々な手法が出ていますが、まずは目の前に出された費用対効果を鵜呑みにせず、様々な視点で検証することが大事だと思います。