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【B2C】カスタマージャーニーマップ作成に必要な8つのステップ

こんにちは、モンゴロイドのデザイナー(SMB)です。
前回のUXデザインを構成する「5つの段階」の要件段階で、少し説明したカスタマージャーニーマップについてご紹介します。
カスタマージャーニーマップ作成に伴い、B2CとB2Bで考察する内容が変わりますので、今回はB2Cをメインに必要な8つのステップをまとめました。
B2Bは、次回詳しくご紹介したいと思います。

カスタマージャーニーマップとは?

カスタマージャーニーとは、顧客の一連のブランド体験を「旅」に例えたフレームワークです。
顧客は、特定のブランドや商品を認知、購入、再購入する段階で、店舗やECサイトなどさまざまな接点を行き来します。
この一連のプロセスを「顧客の旅=顧客体験」として捉え、それを時系列で可視化したものがカスタマージャーニーマップです。
顧客視点での体験を把握し、改善するための助けとして活用します。

カスタマージャーニーマップを作成する際は、「入力情報」と「出力情報」のプロセスをしっかり組み上げることが大切です。
続いては、その手順をご紹介します。

「入力情報」とは

取り上げる商品やサービス、それらの提供対象となる顧客像(ペルソナ)の情報、スタートとゴール地点といった、マップを作成するための前提情報をインプットすることを指します。

「出力情報」とは

入力された情報をもとにマップを作成することで、可視化される顧客の行動や感情、接点や打ち手のアイデアなどです。

カスタマージャーニーマップ作成のメリット

顧客は企業から「特別な一人」として扱われることを望んでおり、どんな接点でアプローチする場合においても、一貫した対応を求めています。
カスタマージャーニーマップは、この変化に対応するための仮説を素早く構築できます。

変化への対応を、費用かけずにすぐに実行できる

ホワイトボードや大きな紙、付箋やペンなどがあれば、すぐに取り組むことができます。
特別なシステムの導入費用や時間をかける必要はありません。

顧客を理解する力が身につく

カスタマージャーニーマップを作成する過程では、さまざまな接点の顧客の行動や感情を想像します。そのため、顧客を理解する力が養われます。

共通認識が生まれる

カスタマージャーニーマップの作成を通じて、顧客の行動や感情、チームが持っている情報を可視化されるので、チーム内に共通認識が生まれます。

顧客視点のアイデアを考案できる

カスタマージャーニーの中で、顧客の行動がスムーズに進んでいない箇所、感情が大きく下がっている箇所を発見し、新しい顧客体験やアイデアを考案できます。

8つのステップ

カスタマージャーニーマップの作成に必要な、8つのステップをご紹介します。
また、ステップ自体も「入力情報」と「出力情報」に分けて考えます。


STEP01 テーマを決める 取り上げる商品・サービス、スタートとゴール、期間を設定する
STEP02 ペルソナを設定する 対象顧客像を明らかにする






STEP03 行動を洗い出す 顧客がスタートからゴールまでの間にとる行動を明確にする
STEP04 行動をステージに分ける 明確になったさまざまな行動を分類し、グルーピングする
STEP05 顧客接点を明確にする 顧客が利用した店舗やアプリ、Webサイトなどの接点を洗い出す
STEP06 感情の起伏を想像する 「うれしい」「困った」「いいね」など、顧客の気持ち変化をつかむ






STEP07 対応策を考える マップ全体を俯瞰して、課題や改善可能なポイントを検討する
STEP08 視点を変えてアイデアを追加する カスタマージャーニーマップ全体を違った視点・角度から見直すことで、新たな施策のアイデアを生み出す

01.テーマを決める

最初のステップでは、自社のどの商品やサービスをもとにマップを描くかを決めます。次にカスタマージャーニーの「スタート」と「ゴール」として、ペルソナのスタート地点とゴール時点での状態(認知状態・購入経験・好意度)を定義します。
さらに、スタートからゴールまでの「期間」で、状態変化が起こるまでの長さを決めます。
このテーマ設定は、マップの土台となり、後の全てのステップに影響を与えます。

企業名・部署名 例)株式会社 アパモンゴ 総合マーケティング部門
商品・サービス 例)20代女性がメインターゲットのカジュアルファッションブランド「A」
スタート 例)ブランド名はなんとなく知っているが買ったことはなく、ブランドとの接点がない状態
ゴール 例)ブランド「A」の洋服を購入し、グループの他ブランド「B」との前向きな接点をもった状態
期間 例)2週間

02.ペルソナを設定する

ここでは、カスタマージャーニーマップの主人公となるペルソナを明らかにしていきます。
商品・サービスを使って欲しいターゲットを決め、名前や性別などの基本情報や、趣味や休日の過ごし方などのライフスタイルがわかる情報を具体的に描きます。
ペルソナを構成する項目は、大きく3つに分類できます。

■基本情報

名前・性別・年齢・職業・年収・家族構成・居住エリア

■行動属性

趣味・休日の過ごし方・最近の悩み・消費傾向・情報接点(メディア/アプリなど)

■ステータス自由

「基本情報」と「行動属性」の2つに当てはまらない状態や具体的な行動イメージを想像します。

03.行動を洗い出す

顧客行動を洗い出すために、まず「スタート」と「ゴール」の状態を書き出し、それをもとに、顧客がどんな行動をとるかを思いつく限り書き出します。
書き出したアイデアが多いほど、後々のステップがスムーズに進みます。

04.行動をステージに分ける

ステップ03で、記入した顧客行動を分類しグルーピング化することで、どのようにステージが移り変わるかを考えていきます。
グルーピングのコツは、行動の背景にあるペルソナの「態度変容」に注目することです。
例えば、ブランドに興味がなかったけれど、SNSの投稿を見ているうちに、そのブランドが「好きになった」などの態度の変化です。

05.顧客接点を明確にする

顧客の行動が明らかになったら、次は顧客との「接点」を考えます。
顧客は、CM、アプリ、Webサイト、SNS、店舗などのさまざまな接点を通じて、情報収集を行い意思決定をしています。
洗い出した顧客行動を見ながら、顧客視点で利用する接点をさらに洗い出します。

06.感情の起状を想像する

顧客行動を可視化し、接点を洗い出した後は、その背景にある感情の変化に注目します。
メディアなどを通じて情報に接触し体験した時に、顧客はそれに対してなんらかの反応をします。
その中の1つが「感情変化」です。
感情変化は、施策を考えるときの材料となります。
ネガティブな感情が多く向けられるプロセスは、顧客体験を改善するヒントになり、ポジティブに傾きやすいプロセスは、その要因を強化することで、よりよい顧客体験を生み出すことができます。

07.対応策を考える

ステップ03から06までは、顧客の立場で、ペルソナになりきって考えるプロセスでしたが、ここからは、企業視点で顧客の体験をいいものにできるかを考えていきます。
「顧客行動」「接点」「感情変化」の内容を統合して見ることで、課題を発見しやすくなります。
その時のポイントとして、マップを「縦」と「横」に見ることです。

■マップを「縦」で見るとき

ステージ→顧客行動→接点→感情変化を見ながら、接点は行動を十分にサポートできているか、感情はネガティブに向いていなかを確認します。

■マップを「横」で見るとき

ステージや顧客行動がスムーズに流れているか、接点が足りているかなど、感情の起状が極端に振れていないかを確認します。

08.視点を変えてアイデアを追加する

ここまでの作業で、カスタマージャーニーマップは埋まった状態です。
各ステップでは、アイデアを積み上げる形で進めてきましたが、最後のステップでは、全く異なる視点・角度から考え、取り入れます。
ステップが進むにつれて、カスタマージャーニーマップがまとまっていきますが、それに伴いある種の世界観が確立されてしまいます。
こうした状況を打破するために、別の視点・角度がないか?と見直すことで、視野が広がります。

まとめ

カスタマージャーニーマップの作成後は、他のメンバーと意見を交換し、その中から最も重要で、すぐに取り組むべき事項を決めましょう。
一度作成したマップは、その後も度々参照する貴重な資料になるはずです。
ぜひマップは記録に残して、チームや社内へ共有するといいでしょう。

カスタマージャーニーマップを作成することで、スタートからゴールまでの道筋が可視化でき、何をすべきか自ずと見えてきます。
モンゴロイドはそのお手伝いをさせていただきます。
是非お気軽にお問い合わせくださいませ。

※参考書籍
はじめてのカスタマージャーニーマップワークショップ