今や、私たちの生活に欠かせない「EC(ネット通販)」の存在。
年々、EC市場へ参入する企業も増えており、スマートフォン普及の影響でさらに利用率も増加傾向にあります。
最近は、フリマアプリやショップ開設サービスなどにより、企業だけでなく個人もネット上で本格的に商品を取引するようになってきました。
「この波に乗って、そろそろウチもECを!」と思っているけれど、「何からすればいいか分からない……」という方のために、ECサイト運営のための基礎知識をお伝えしていきたいと思います。
今回は、自社ECとモール型ECの違いについてです。
そもそも、ECってどれくらい売れてるの?
経産省が発表した調査結果によると、2016年の日本におけるBtoCのEC市場は、昨年度と比べ9.9%の伸び率となっています。
参考までに、近年のEC市場の成長具合とEC化率を見てみましょう。
EC化率とは、アパレルなどの物販系分野のうち、ECなどで電子取引されているものを指します。
出典:経済産業省「平成28年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)
実は、この図にはない1999年から、日本のEC市場はずっと右肩上がりで成長し続けています。
はじめに述べたように、スマートフォンの普及の影響も大きいため、スマートフォンを利用する世代層が厚くなれば、今後さらに市場規模が拡大していくことでしょう。
野村総合研究所が出した市場予測(2017年11月29日公表)では、BtoCのEC市場は2023年度まで年率6~7%程度の成長が続くと言われています。
市場が拡大することによって、競争が激化していく分野もあるでしょう。
これからEC参入する企業も、すでに競争の中にいる企業も、自社商品の特性と市場を理解し、「何をどんな形でどこに売るか」をしっかり考えていく必要があります。
自社ECとモール型ECの違いって?
では早速、「どんな形で」売るかを考えるにあたって、まず考えなくてはいけない話をお伝えします。
ECには、自社で独自に作り上げる「自社EC」と、Web上のショッピングモールのテナントになる「モール型EC」があります。
その違いを明確にするために、まずはECに必要なものを考えてみましょう。
他にも細かくありますが、大きく分けるとこんな感じです。
自社ECとモール型ECの違いとして一番はっきりしているのは、
自社ECはこれらすべてを自分で調達しなくてはならないということです。
モール型ECには、あらかじめ用意されているシステムがあるので、比較的簡単にECを始めることができます。(出荷・配送は自社で用意する場合が多いですが)
自社ECの場合、いちから用意することになるため、敷居が高いように感じますよね。
それでも、自社ECを構築している企業が多くあるのはなぜでしょうか?
モール型ECの魅力
モール型ECの最大のメリットは、なんといっても集客力でしょう。
自社ECの場合、独自ドメインを取得してお店を作るため、その住所が知られるか、ブランドが有名にならない限り、誰も訪れてくれません。
その点、モール型ECは、モールそのものに知名度があり、お客様が次々と訪れます。
その中で、訪問者の目に留まれば、自分のお店にもお客様が来てくれることになります。
一番難しい集客をモールがやってくれるので、その分の負担が軽減されます。
また、楽天市場などの大手モールは、TV CMなど大々的な広告を打ってキャンペーンを頻繁に実施しています。
参加費用はかかりますが、キャンペーンに乗れば必然的に売り上げを伸ばすことができるため、自社でいちから企画・実施するより簡単に山場を作ることができるでしょう。
では自社ECのいいところって?
反対に、自社ECの場合は集客に膨大な手間がかかります。
SEO対策やリスティング広告、ディスプレイ広告など、Webの利用者が自社のECサイトに訪問するための導線を、適切に作っていく必要があります。
ただし、裏を返せば、自由にプロモーション施策を行えるということです。
モール型ECには、モールごとに制約があります。
- ショッピングポイントの付与義務
- メルマガ配信数の制限
- モール内広告の種類が少ないうえに抽選
など、自由度が低いところがほとんどです。
また、それらの費用負担も決して安いものではなく、そもそもモール型ECにはシステム利用料などのランニングコストが常につきまといます。
自社ECであれば、自由に予算を立てて、必要なプロモーションを必要なだけ実施することができます。
ランニングコストに関しても、いちから構築が必要なため、初期費用はモール型ECより高くつきますが、その後は運用次第で安価に抑えることができるので、長期的に見るとコストが安く済む場合があります。
結局どっちがいいの?
結論から言うと、どちらにもメリットがあり、デメリットがある、です。
今回は集客の視点から違いを見てみましたが、商品自体の認知度によって、自社ECとモール型ECのどちらが効果的かは変わってきます。
商品やブランドが世間に知られていない場合、ダイレクトにその商品を探してたどり着いてくれるお客様はなかなかいません。
そんな商品を扱う場合は、集客力があるモール型ECを利用した方がよいでしょう。
すでに世間に広く認知されているようであれば、お客様はおのずとその商品を検索してくれるので、利便性を重視して自社ECの構築に踏み込んでもいいと思います。
ちなみに、世の中には自社ECとモール型EC両方を持つ店舗も少なくありません。
モールに属する顧客へのアプローチを行い、売上を最大化するためということもありますが、目的の一つとしてリスクヘッジがあります。
自社ECのシステムに障害が発生しても、モールが通常通り稼働していれば、少なくともモールでの売上は確保できるからです。(逆もしかり)
もちろんコストが倍になりますので、体力がある企業におすすめです。
次回も、別視点からECサイト運営の基礎知識をお伝えしたいと思います。
最後に、自社ECのプロモーションについて知りたい方、お悩みの方は、ぜひこちらもご覧ください。
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